無駄な争い
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ふぅ。プロのくせにシロウトとやりあってしまった。
やっぱり深夜にならないと、脳のコントロールがうまく行かない。
ので、2007年に書いた記事、再録。
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思わずキャッチコピーに立ち止まってしまった。近所の百均の店。
商品の外見はコンニャクゼリーのようで、
それが山ほど入った段ボールに、以下のコピーが大書されていた。
「カブトムシのエサ / 食べられません」
私は職業上、商品についている宣伝文句等に敏感だ。
そして考え込んでしまう。
エサ=食べ物だろう?
食べられません、ってどういうことだ・・・と。
もちろんカブトムシ飼育用のものであり、
人間が口にしないように、との店側の配慮だろう。
それくらい私のカブトムシなみのアタマでも分かる。
が、なんかヘンだ。
これは後文に主語がないからいけないのである。
日本語は主語なしで成り立ってしまうから、
こういうことになってしまうのだ。
「カブトムシのエサ / 人は食べられません」
まぁ、こんなところだろう。が、まだちょっと引っ掛かる。
「人」というのは失礼なんではないだろうか、と。
「カブトムシのエサ / お客様は召し上がらないで下さい」
・・・。うーむ。。
なんか丁寧過ぎて客を小馬鹿にしているようだ。
こんなもん、食う奴いるわけないだろっと突っ込まれそうである。
しかも「お客様」に限定してしまうと、その家族や知人は食ってもいいのか、
というややこしい次元のハナシになる。
こういう迷宮に入ってしまったときは商品特性の徹底的な分析が必要だ。
ので成分表を見る。と。得体の知れない着色料が入ってはいるが、
基本的にはブドウ糖果糖液糖にゲル化剤を加えたもののようだ。
つまり「ヒトも喰えなくはない、が、ヒト用の食品ではなく
ようするに食品衛生法でいう食品でもなくて、
その規制も受けていないし、配慮もしていない」
ということになる。
さぁ、だんだんややこしくなってきた。
「カブトムシのエサ / 人が食べられなくもありませんが、
食べられた場合の安全性が保証されておりませんので、
なるべくカブトムシのみにご使用になり、口になさらないで下さい」
ダメだ。長い。長すぎる。しかもくどい。これじゃキャッチコピーにならない。
しかもよく見るとクワガタムシ、コガネムシにも可と書いてあるではないか。
ますます混乱してきた。
・・・。
「カブトムシのエサ / 食べられません」
いーや、もう。。
コピーライター・作家 江古田潤