ギャグ

 

※再録です
 
よくキャラクター設定に長けている、と、言われた拙著だが。

私の場合、取引先がしょっちゅう変わる広告業で、

なおかつ中学生の頃から、何かしらアルバイトをしてきたので、

人より多くの、いろいろな職種の人間を知っている。よって。

キャラクター設定に迷ったことはない。

たいてい誰かモチーフがいたり、複合して独りのキャラにしたり。




拙著・屁理屈屋P454「温泉」より

修家はさらに話題の角度を上げてみる。

「患者さんや治療する医師にとっては厄介な病気ですが、
 研究する医師にとっては『面白い』病気なんですよ、がんって。
 大きな病院だと、肝臓とか腎臓とか呼吸器科とか、
 臓器ごとに別の科になっているでしょ? あれもがん研究のせいなんです」

「儲かりまっ科もか?」

「え」

 修家は狼狽する。
「あれは…… ちょっと違いますけど」

「だからさぁ」

 織田がいきなり向き直った。
「そういうところがつまんねぇんだよ、お前の話は。
『その通りっ、いえ、ちゃいまんがなっ』みたいな…… な? 
 ノリツッコミで来いっていうの。分からんか、
 一流医大生のエリート様には」


↑第一主人公と第二主人公の会話である。

割とインテリ層に好まれる拙著だが、作者の私自身、

ギャグとハードボイルドが入り混じった人生のため、

こういった作風になった。ちなみにこの章名が「温泉」なのは、

温泉療法の起源についても論及したからだ。


コピーライター・作家 
医科学評論家 お笑い文筆業  江古田潤