信長協奏曲

信長協奏曲


戦国時代から教わることが多いので、

某出会い系サイトでは、尊敬する人の欄に織田信長を挙げた。

よって、信長協奏曲も毎週、観ている。

第三回で、手を怪我した女の子(前田敦子)に、

信長(小栗旬)が、21世紀から持ってきたバンド○イド的な、

緊急絆創膏を貼ってあげるシーンがある。

ふと、胸の奥深いところが痛む。・・・そうか。逝った日か。

あれは、まだコンビニに三類医薬品も無かった時代。

国道沿いのファミマにクルマを停めると、

駐車場の車止めのコンクリに座っている少女ふたり。

何やらひそひそ話をしている。別に気も留めず、

冷緑茶でも買うかな、と思って立ち寄った私の後を、

ひとりの女の子がついてきていた。レジで店員さんに、

「あの・・・バンド○イド、ないですか?」と小さな声。

事務所的な場所では、コピー用紙で手を切ったとかの微細な怪我に、

マキ○ンとかバンド○イドが常備されている、と考えたのだろう。

店員さんも素早く事務スペースをチェックして、

「ごめんなさい、ありません・・・」と。・・・ちぇっ。

私の仕事バッグの中には消毒剤も緊急絆創膏も、

下手すれば包帯も、鎮痛剤、胃薬、ビタミン剤も入っている。

肩を落として、もう一人のコに近づくコに、

「・・・どうした? 診てやろうか?」と声をかける。

ちなみに緊急避難だから医師法違反ではない。

コンクリにつまづいて、転んだだけ、と聴診、傷を見る。

・・・うん、骨の損傷は無さそう、1センチの擦り傷。

ただし、内出血で五センチ径の青あざ。

コットンで消毒し、緊急絆創膏を貼る。

私「数時間、経っても痛みが引かない、または腫れてきた、

歩くと腰や膝に負担がかかると思ったら、医者に行け」。

そう告げて、立ち去ろうとすると、名前を聞かれる。

ちょうど、そのとき私の書いた記事が載っている、

月刊誌を持っていた。「記者だ。やるよ」

そういって放り投げると、編集部に電話したらしく、

担当編集を経由して、手当してあげたコから電話が入った。

ファミレスでの食事、彼女の将来の夢は看護師になること、

一時間百円の安いカラオケ。三回くらいデートしたか?

そして、彼女は本来のカレシのリアシートに乗ったまま、

この世から居なくなった。・・・最後に、当時、流行り始めた、

華原朋美のアイム・プラウドを歌ってくれたっけ。

私は返曲で、映画「野生の証明」の主題歌を歌ったのだ。

~ありがとう、ぬくもりを
~不意に向ける、この背中を見られたくはないから・・・

私が見たのは幻だったのか。看護師さんを見かけると、

そこに彼女の面影を探す。拙著・屁理屈屋を、

最もあげたかった一人である。

 


コピーライター・作家 法学中退
ヤフチャ科学部屋・生物医学担当 江古田潤