楽にできるダイエット

拙著・屁理屈屋の第一主人公(怠学中の医学生)と、

第二主人公(警視庁・警部補)との出会い。

きっかけは暴力団事務所、その後、居酒屋へ。

第二主人公、織田警部補が肥満を気にしている、と聞き、

第一主人公はこう答える。

「あの織田さん」

「なんだ」

「今日の昼食は何でした?」

「刑事の昼飯は被疑者とかつ丼に決まってる。知らなかったか?」

「あ、そうなんですか?」

 ……バカ、ここ笑うところだぞ。

 織田はまた心中で毒突いた。実際、拘置中の被疑者は、拘置所内で昼食を取る。

 警察官とは別だ。

「それから朝飯はどうだったっけな、あ、今日は喰ってないか」

「……そうですか」
 修家はグラスに残っていたビールをひと息で飲み干した。

 それからおずおずといつた感じで織田のほうを向く。

「あの、食事内容に気を配るだけで、ずいぶん変わるんですよ、

 肥満もコレステロールも」

その前にサプリメントの情報で、本来、ダイエットとは、

食事療法のことを指すのであり、痩身を意味するわけではない、

との説明も入れた。基本、医学ミステリなのに、

主人公たちは何の薬も服用しない。ほとんどが食事療法の説明である。

医学部に栄養学の講義はない。

基礎生理学の一環として、初歩の栄養学、代謝動態は教わるが、

具体的な栄養成分の分子レベルでの動態を理解しようとしたら、

百科事典数万冊分の量になる。私は誰でも気軽に挑戦できる、

食事療法で、器質的疾患を除き、対応できると思っている。

本作は医科学に無頓着な方にも、

読みこなせるように書いた、医学・法学・軍事・政治を含む、

エンターテイメント警察ミステリであり、

読者の「面白かった!」が、99.9パーセントを占める、

娯楽小説であり、啓蒙小説である。


コピーライター・作家・元料理誌記者
医科学評論家・ヤフチャ科学部屋、生物医学担当 江古田潤