冬が来る

東京都下。八王子では、もう朝晩は寒い。冬が来るのだ。
 
で、ナンブ14年式。
このサブタイトルだけ読んで、意味が分かる人はガンマニアだろう。
旧日本帝国陸軍で、将校以上が持っていた拳銃の型だ。
そして、ガンマニアなら二種の形を思い浮かべることと思う。
トリガーガード=引き金を取り巻く用心鉄の丸いものと、
銃口に向かって膨らんでいるものと。後述したのが後期型で、
これは手袋をして発砲することを考えて、手袋をした指がすんなり入るように、
トリガーガードを広げてあるのだ。なぜか?
 
日露戦争で、敵領地は雪深い場所。
寒気に耐えかねた日本軍人は、手袋をしたまま。
前述したトリガーガードが丸い初期型では、
指が入りにくく、引き金をうまく引けなかったからである。
 
これに応えて後期型はトリガーガードが膨らんでいるのだ。
口径8mm。弾薬も珍しいもので、私は現実に使ったことのある人と話し、
そうか、ジャムも多かったのか、と、気づいた。ジャムとは、空薬莢を排出するとき、
反動で開閉する遊底に詰まり、次弾が装填できなくなる現象で、自動拳銃では命取りだ。
 
で、拙著・屁理屈屋では、この日露戦争と日本の国民的イベントを関連づけて、
説明してある。反論も多い拙著だが、警察描写に関しては、国のビッグだったヒトから、
博識ですね・・・と、褒められている。ぜひ、読んでみて欲しい。
 
ちなみに「宇宙戦艦ヤマト」シリーズで、主人公たちが持っている銃は、
未来を想定して、かつ、戦艦大和が活躍していた時代を彷彿させるため、
スペースナンブと名付けられていた。実際に戦闘に行った方々には、
なにやら不可思議なネーミングだろう。
 
南部博士は偉大な方だったが、この拳銃の設計には関わっておらず、
名前だけ残った。そういう時代だったのだ、との感想しかない。
日本の一般国民が再び銃を持つことが無いことを望んでいる私である。
 

コピーライター・作家 平和主義者 
政治・軍事評論家 護憲論者  江古田潤