話を合わせる

 

仲良しとスーパーへ。
 
明日、夜勤だから夜中の間食に、と、
 
リンゴの100パーセントストレートジュースを選ぶ。
 
私「いいんじゃない? ヒトはサルから進化した際、
 
よく果実を食べるようになって、仲間に果実の成る時期、
 
方角、予想収穫量を知らせるため、
 
言語を発達させたと考えられている。それにリンゴが赤くなると
 
医者が青くなるってコトワザ、知っているでしょ?
 
 健康にいいよ、リンゴは」
 
相手は納得する。それからイカ煎餅を手に取り、
 
私の顔をうかがう。
 
私「イカはタウリンが多い。脂肪からエネルギーを取り出す際、
 
必要なアミノ酸だから、深夜でも、肉体労働と頭脳労働、
 
同時にこなさなければいけないアナタの場合、適したおやつだよ」
 
また相手は納得する。そして、「明日のサラダ用にトマト」と、
 
スタスタと野菜売り場へ。
 
「フルーツトマトのほうが甘いんだけど、
 
こっちのほうが熟していて美味しそう」
 
私「どれどれ? ・・・うん、トマトはメインになる旨みは、
 
グルタミン酸で糖原性アミノ酸だから、フルーツトマトは、
 
旨みを減らして甘さを増していると考えられる。
 
サラダはデザートじゃないから、旨みが多いほうが、
 
ドレッシングを節約でき、減塩食、減脂肪食に適している」
 
これで、また相手は納得する。ま、ケトとかTCAとか、
 
説明しだすと切りがないので、適当に端折ってしゃべり、
 
たぶんこれで合っているだろうな、とお喋りをやめる。
 
ヒト生物学者の日常ってこんなもん。
 
 
※ヒトの進化論的解釈、各種栄養学解釈は、
拙著・屁理屈屋の屋台骨になっている。
本作は科学に基づいた医学・法学・軍事・政治に満ちた、
エンターティメント警察ミステリである。
 

コピーライター・作家 ヒト生物学者
ヤフーチャット科学部屋 生物・医学担当 江古田潤