織田警部補の沈黙

 

私が原因不明の意識喪失で、転倒、

コンビニの冷蔵ケースで側頭部を打ち、

意識不明、四肢痙攣で救急搬送された、との話は何度か書いた。

術前のMRI画像では、脳面積≒体積が二分の一から三分の二程度まで、

減少している。15年前だったら、ほぼ確実に死亡診断待ち。

が、不思議に生還。現代の脳医学は素晴らしい。が。

 織田は沈黙したままだ。一般的に遺伝子だの脳だの言われて、

うかつに返事の出来る人はいない。

分かったようなことを素人が言ったならば、

それは99.9999%知ったかぶりだ。

いや、医者だって分子生物学者だって大脳生理学者

だってそうだろう。なにせ分かっていることのほうが少ないのだ。

それどころか果たして『分かること』が可能なのかどうか、

というレベルで、すでに疑問が発生している。

↑拙著・屁理屈屋P355より。

この後、数億年前の脳の発生からはじまり、

『ヒトの脳はヒトの脳を理解できるか?』という哲学的テーマに突入してしまう、

これは『パソコンは自分と同型のパソコンの、配線の仕組みや意義を理解できるか?』と同じで、

それを設計したヒト、つまり上位の概念に立たないと理解できない。

と、いったん〆る。そして、神の存在とは何か?に話題は進んでいく。

いろいろとご批判はあるようだが、本作は、

真面目な医学・法学・軍事・政治に満ちた、

エンターテイメント警察ミステリである。ご購読をお願いする。


コピーライター・作家 ヒト生物学者

ヤフーチャット科学部屋・生物医学担当 江古田潤