あのコ

この道を通ると思い出す。
 
高校を三回退学し、二十歳になってから入った四校目の高校。
 
都立の全日制は、入学資格を18歳までに止めているから、
 
定時制。そして入学と同時に、私が登校する頃になると、
 
当時の彼女が校門の前で待っていた。
 
彼女「(高校生には)・・・年上ってモテるから、
 
彼女いますよってアピっておこうと思って」だそうだ。
 
そのせいか、同級生も同学年のコも、
 
私と付き合おうって言い出すコはいなかった。
 
第一、私が仕事で忙しく、
 
かつ三回も失敗した高校生をやることがメンドくさかった。
 
だが。
 
あのコは下校時、80メートルも離れ、
 
独りで歩いていた私を見つけ、
 
大きな声で呼んでくれた。「一緒に帰ろうよ」
 
なんて高校生っぽいセリフだろう。髪は真っ金々、
 
濃いめのルージュ、典型的な不良少女だったが、
 
美貌でスタイルもよかった。
 
「マアジャン? やったことある。でも忘れた。やりたい」
 
私の実家で、だから自動卓ではなく、手積み。
 
雀牌をかき混ぜているとき、
 
女性の爪って凶器になるんだな、と知った。
 
それからよく私に話しかけてくるようになり、
 
ある日、私が仕事の非番のとき、
 
「ちょっと・・・帰りたくないし」
 
仕方がないので川辺までクルマを飛ばし、
 
流れの音が聞こえるところまで行った。
 
問わず語りの雑談をする。とくに深い話はしなかった。
 
そのうち。「ね。こういうとこでクルマ停めてると、さ。
 
・・・思われちゃうよ」「何と思われるの?」
 
この問いはイジワルだった。バリバリの不良少女も、
 
カー○ックスと言う言葉は恥ずかしかったらしく、
 
急いで話題を変えた。エ○はまだ汎用されていなかったし、
 
確かに人気のない場所だから、そう思われても仕方ないな、
 
と思ってクルマを交通量の多い道路に戻す。
 
「ん。いいや、帰る」突然そう言い出したので、
 
彼女の自宅方面に向かう。あれは正解だったのだろうか?
 
未だに女性心理にうとい私は、たまに自分自身で問い、
 
イジワルな自分を笑い飛ばす。ところで、当時の彼女、
 
校門で待っていた彼女は、バイト先でデキてしまった。
 
私には相手が来れなくしておいて、自分はちゃっかり。
 
オンナって怖い、と思った22歳の私
 
拙著・屁理屈屋にラブロマンスがない理由。
 
著者の私自身、愛なんて信じていないからだ。
 
お金目的でもいい。しばらく休ませてくれれば。
 
私のことを何も知らないコだけ、本音を漏らせる。
 
本作では、ミーム理論とキリスト教敷衍をベースに、
 
愛の存在を書いた。が、私自身はいまだに孤独。
 
そして、いつも思い出す顔がある。会いたい。

※ところで私の本をネット検索していて、私の悪口が届いた方、
すぐにKサツに通報してください。刑法の名誉棄損罪か、
侮辱罪、またこういった事実を耳にしても警察に届けないと、
準共犯を問われることもあります。もう二人、共犯かなぁ。
 
コピーライター・作家・編集ライター
肥満予防健康管理士 栄養学者 法学者
ヤフーチャット科学部屋・生物医学担当 江古田潤